日本では、トランプ大統領が来日や北朝鮮核開発の問題で、注目度が低めですが、中東では、着々とアメリカとイランとの軍事緊張が高まっています。
5月からアメリカがイランにどんどん圧力
5月に入ってから、アメリカ政府はイランに対し、どんどん経済制裁と軍事圧力をかけています。
5月2日、アメリカがイラン産原油の禁輸措置を開始。
5月5日、空母エイブラハムリンカーンとB-52爆撃部隊を中東に派遣することを決定。
5月8日、イランが核合意履行の一部停止を表明
5月10日、アメリカが地対空ミサイルの追加配備決定。
5月14日、イラン参加の武装勢力がサウジ石油施設を攻撃。
5月15日、アメリカがイラク大使館員を国外退避を命令。
5月19日、イラクの米大使館付近にロケット弾撃ち込まれる。
5月20日、イランが低濃縮ウランの製造量を4倍に引き上げ。
5月24日、アメリカが1,500人の米兵を中東に追加派遣。
5月24日、サウジアラビアに20億ドル相当の武器をアメリカ政府が売却すると表明。
中東諸国とアメリカとの関係は敵味方がコロコロ変わる
そもそも昨年ぐらいまで、サウジアラビアとアメリカは仲が悪くなってきていました。石油の決済をドル建てではなく他の通貨での決済にする動きがあったり、アメリカでシェールオイルが産出されるようになって、原油価格が下落したりしたことが原因です。
サウジアラビアとアメリカでは、女性の人権に関してはずいぶん考え方が異なります。サウジアラビアでは、女性に選挙権はありませんし、自動車の運転や一人で旅行にいくこともできません。また厳格なイスラム教国家です。
しかし、アメリカの最新鋭兵器をサウジアラビアが金払い良く購入してくれることと、不安定な中東諸国の中では安定した大国なので、他の中東諸国へにらみが利きやすいから仲良くしているだけです。
イランとアメリカは対立の歴史が長く根深いです。イラン・イラク戦争のときは、アメリカはなんとイラクのフセイン大統領を支援していました。イラクが強くなってきたら、アメリカはイラクが大量破壊兵器を持っている(本当は持っていなかった)と主張して攻撃しました。
その後、イラクがアメリカに攻め滅ぼされて、アメリカがイラクの戦後処理で忙しかったオバマ大統領のときは、イランへは融和的政策がおこなわれていました。
また、イランが強くなってきたので、そろそろ締め上げるということなのでしょう。
防衛関連銘柄そろそろか?
サウジアラビアには20億ドル相当の武器売却ですが、UAEとヨルダンにも武器が売却される予定で、なんと総額が81億ドルです。当然、地対空ミサイルや戦闘機などのアメリカ軍需産業が潤うことになります。
こういうアメリカ軍需産業に対する米政府のサービスキャンペーンは定期的にやってきます。
そういわれてみると、ボーイング(BA)、レイセオン(RTN)、ロッキードマーチン(LMT)、ノースロップグラマン(NOC)の株価が最近冴えないです。
そろそろ大きな動きがあるのかもしれません。