故 ロナルド・リード 氏 その2 出口戦略は?

ロナルド・リード氏の話を聞いて、米国株投資は報われる、だれでも億万長者になれると勇気づけられた個人投資家も多いと思います。でも、なんとなく違和感を感じるかたもいるのではないでしょうか?私も違和感を感じてしまった1人です。どういう違和感なのか、じっくり考えてみました。たぶんそれは、自分がなぜ株式投資するのかという本質にも関わってくることだからです。

配当金生活すればいいのに

9億円もあれば、S&P500平均と仮定しても、年2%は配当金が付きます。年1,800万円の配当金です。アメリカは税金が10%なので、毎年1,620万円使えます。そんなに倹約家なら毎年1,620万円も入れば充分でしょう。

しかし、ちょっと待ってください。S&P500の平均リターンは、年7%です。年7%のリターンでは、資産が2倍になるまで10年間かかります。

92才の時に9億円と言うことは、82才の時は、4億5千万円です。

72才の時は、2億2,500万円。ということは、72才の時の配当金は、450万円、税引き後たったの年405万円です!!

ロナルド・リード氏は75才まで働いていました。たしかに、年405万円の配当金だけだったら、老後のことも考えて、株を売却せずにもう少し長期保有しようかなと思うかもしれません。

もっと若い頃までさかのぼると、62才では、手取りの配当金が202万円です。これでは、豪遊できません。62才でも、もうかなり良い年です。

アーリーリタイアしたいのなら、52才ぐらいでリタイアして遊びたいですよね。手取り配当金100万円です!!全然リタイアできません!!

結局、ロナルド・リード氏は75才でリタイアしましたが、その年になってからお金を使おうにもカラダが言うこと効かなかったのかもしれません。

お金の使い方が大事

そもそも、人生のほとんどを倹約していたような人ですから、お金の使い方も判らなかったでしょう。株式投資するだけで、その増やした資産をどのように役立てるのかという未来が見えていなかったのかもしれません。最終的には、彼の遺産が、地元の公共施設に寄付されて社会に役立ったわけですが、株式投資を開始した当初から、地元に還元しようと思って開始したことなのかどうなのか大変疑問に思います。体が言うことを利かなくなって、遺産のことを考え始めたというのが真相ではないかと思います。

なんのために株式投資して資産を増やすのかという目標がすごく大事です。老後の生活のためということも重要な目的ですが、それだけだとロナルド・リード氏のようになってしまいます。もちろん、収入が少なくてしかも浪費家の人よりはずっとエライのは間違いないのですが・・・。

先日、ブログで、京都大学の本庶佑先生ノーベル医学生理学賞を受賞され、その賞金を若手の研究者の研究助成基金の立ち上げに使用すると述べられたことをご紹介しました。

本庶先生のノーベル医学生理学賞についてはこちらに関連記事

たとえば、「もっと儲かるんで賞金を米国株に投資しようと思います。」と発言されたら、みなさん、すごく違和感を感じるでしょう。でも、株式投資のブログでは、倹約して積み立ててお金持ちになる人が偉くて、使ってしまう人はアホということになります。若手の研究者の研究助成金なんかに使っても、自分にはなんのリターンもありません。でも、本庶先生の賞金の使い方は、米国株投資で資産を増やすことよりも、ずっと素晴らしいと思います。

大きな自然災害が起こったときに、芸能人や大企業の社長が多額の寄付をしたりすることがあります。寄付しない人よりも寄付した人のほうがずっと偉いはずなのですが、「売名行為だ」と批判されることがあります。なんとなく、寄付していない一般庶民のやっかみのような気もするのですが、私も正直なんか違和感を感じてしまいます。

賢者の決断か否か

本庶先生の寄付と芸能人や社長の寄付、この違いはなんでしょう?本庶先生も匿名じゃないし売名行為と言われても良いはず。

たぶん、本庶先生は、これまで多くの若手の科学者が資金難で無念にも消えていったことを目の当たりにして、日本の大学の問題を憂い、社会を変えたいという意識があって、寄付すると述べられたのだと思います。一方、芸能人や社長が災害で寄付するときは、テレビで最近話題になっているからというなんとなくふわっとした動機で寄付しているから違和感を感じてしまうのではないでしょうか?

野茂英雄をどう思う?

大リーグに行った日本の野球選手で、国民栄誉賞を受賞すべきなのは、イチローでもなければ、松井でもなく、野茂英雄だと私は思っています。野茂選手が大リーガーになったから、日本選手の大リーグへの敷居が低くなりました。その後のプロ野球への波及効果を考えると、ノーベル賞級だと思います。

引退後は、日本の社会人クラブチームが次々と廃部になっていく現状に対し、野球を志す若者のために社会人野球クラブチームを結成し、社会人野球チームとしては初めての認定NPO法人になりました。

もし引退後に、「これまで野球で集まった資金で、ちゃんこ鍋屋やりました。それがすごく成功しました。」と野茂選手が言ったとしたら、すごい違和感を感じてしまいます。

さきほどの本庶先生の賞金の使いみちにも通ずるようにも思います。